[特別企画] 社員インタビュー 社長編 Vol.1

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若手社員にとって、ベテランを見て「どうしたらあんな風になれるんだろう」
「なにを勉強するとああいう仕事ができるんだろう」などの疑問を持つことも多いでしょう。

そこで、NDiS Techでは実際にベテランにそのような質問をぶつけてみることにしました。
どうせお話を伺うならトップが良いだろう、と今回は弊社社長へのインタビューです。
まずはウォームアップとして本の思い出話から。

* 年代別に感銘を受けた本

―― ではまず、今いきなりというのは難しいかもしれないんですけども、年代別に感銘を受けた本というのを。

弊社社長向阪(以下略 K):もう覚えてる範囲でいいでしょ?(笑) どんな本読んだか?んーとね、若いころ…20代?高校のときはほとんど本読んでなかってん。大学になってから一部読みだして、社会人になってからのほうがよく読んだと思うけど、最初のころはね、普通の文学書。まあ、簡単にいうたら北杜夫とかね、五木寛之とか、大江健三郎やとか、あるいは安部公房とか。

―― 砂の女とか?

K: 砂の女とか。結構面白いんねん。そういう本を読んでた。それと、今でもあるNEWTONがあるね。あれがちょうど創刊されたときで、35年くらい前かな、あれも結構古いんや。竹内均さんの。これ読みたいなと思ってあれは定期購読。そういう時代があって、それから推理小説、海外のアガサ・クリスティとかにハマって。そっからはもう適当やね。ここ20年ぐらいは、だいたい新書が多くなってきた。で、あんまりその、それでなにかを得たいとかは思ってない。もうずっと買ってるもんはただ題名見て買ってる。

―― ああ、新書の棚で『さおだけ屋はなぜ潰れない』を見かけて、とか?

K: そうそう、その本はベストセラーになる前に買って読んどった。面白いなと思って。

―― 社長は理系、ということでよろしいですか?

K: そうそう。化学工学といって、化学と機械の中間みたいな、プラントとかコンビナートとか蒸留とか濾過とか、そういうような…。

―― ニュートンとかはその流れですよね。

K: そうそう。あと理系ということで「生物と無生物とのあいだ」というのが面白かったから、結構理科系の本よ。でも文章力あるし面白い。その一個前が…。(さまざまな話題に華が咲きましたが残念ながら割愛)

K: …けど、もうあんまり小説とか読まなくなった。マニュアル本は読みたくないしね。

―― よく経営者の方で歴史ものにハマるケースが多いようですが…。

K: 昔ははまったよ。陳舜臣とか三国志とか…。そういう時期もあった。なんかをずーっと読み続けることはなくて、そのときの気分で。ひとつそういうジャンルを読みだすと面白いからそればっかり結構読みますやん。ところがそのうちに飽きてきて、一時ハードボイルドもの読んだり…だからあんまりそんなに歴史ものには詳しくない。


* 身に付けておくべきスキル

―― 若いうちに身に付けておくべきスキルはどのようなものでしょうか?お前らこんなのつけとけよという…まあ技術的なものはそれぞれやらないといけないと思うんですけど。

K: 技術的なことも技術的以外のことも含めて、自分が「これは勝てる」というものを。

―― 強み、みたいなものですか。

K: うん。それはべつに「長時間仕事ができる」でもかまわん。ずっと集中できる時間が長いとか。あるいは「こういう言語のこういうところは絶対に強い」とか、自分の作ったプログラムはあとで誰が見ても絶対にわかりやすいんやとか。そういうものを持つべきやな、と。で、金太郎飴はだめなんですよ私。要らない。どう切ってもいっしょっていう人間なんて組織におってもしゃあないから。だから個性は必要やろうなと思うし、それはやっぱり若いうちでないと。歳いってくるとだんだんだんだん、収束してくるからね(笑)
 で、全部(のスキルを)真ん中にする必要はない。自分の劣ってるところとか、他人に対してできてないところって誰でもあるやん。たとえばプレゼン能力がものすごく悪い、と。仮にね。でもそれだけを上げることを一生懸命やったとして、その代わりなんかの強いところが下がってもしゃあないし。ただあんまりにもそれが悪かったら、自分の仕事とか人生が、やりにくい。自分が損するから、そこの部分はある程度上げようという、そういう話はみんなにしてるけど。まあ、そんなことは、若いうちはまあいいやと。

―― 底上げはまあ底上げとして…

K: だから、5点満点で言ったら全部3点にする必要はないと。ただ1点のやつは、せめて2点にしないと自分困るやろと。そんなことは若いうちはいいから…まあ2点ぐらいにはやらないといけないだろうけど…まずは4.5のやつを、5にするとか。自分が自信持てるやつを絶対に作る。

―― はい。

K: で、その若い頃を思い出して一番歳取ったなあと感じたのは、僕一応技術屋やったから、プラントのシーケンス制御をやってて。プラントの順番に反応機があってそこに原料仕込んでバルブが開いて…シーケンス制御ってわかるよな?

―― あんまりわからないです…。

K: あの、順番にここのバルブ開きますこここうやります次撹拌器に回ります、と設計していく仕事なんだけど、ある程度中の反応の技術もわからないといけないし、インターロックつけなかあかんわけね。あるプラントの制御を考えようと思ったら、じーっと頭の中で考えないとあかんわけ、まだモノができる前なんだから「次はこうやってこうやって…」と。
 それが、二十代は30分続けて真剣に考える。それだけじゃ絶対完成しないから5分休憩してまた30分考える。ところが三十代後半になったら、10分考えたら5分休憩せなあかんのね。頭の回転が続かない。やる気はまんまんよ。でも続かないんよ。そうすると…生産性って多分…どのくらいになるやろな。多分半分以下よりもっと悪い。それが嫌になってくる。だから若いときには集中したらそれだけのことができる。年を取ってくると確かに物理的な体力も落ちるし記憶力が落ちてくるのもあるんだけど、それより真剣に集中して考える時間がなくなるようになる。

―― 集中できる若いうちに強み、個性を磨いておけ、ということですね。では、向阪さん自身が、若いときに「これだけは負けない」と自慢できるような個性的なスキルにはどのようなものがありましたか?

K: おー、…ちょっと待って(笑)そういわれると難しいね…。僕のやってる技術領域はもともとやる人が少なかったんだ。だから、制御システムもある程度わかります、現場作業もわかります、化学的なことも機械的なこともわかります、それがトータルでわからないとできないような仕事なんだけど、そういうことが大丈夫、うまくできる、という感じだったね。そういう仕事をずっと19年間ひとつの工場でやってた。もうそこではなんでもできるようになってるわけ。そのころには技術課長ぐらいになってたんだけど、で、移った工場になって今度は中身全然知らない。その時に何ができるようになってきたかというと、人の目を見て「こいつに賭けようか」と。(笑) そういうのがわりと当たるようになってきたなあ。

―― つまり歳を取ってくると「誰に任せればいいか」という目が鍛えられてくるんですね。

K: そう、技術を覚えても立場が変わると役に立たないんだな、と19年目に異動したときにハタと感じた。


* 若いころ行っていた自己研鑽(技術的なことでも、精神的なことでも)

―― では次に、若いころ行っていた自己研鑽を教えてください。

K: 入社して最初の1年目2年目は同期のメンバーや4,5年上のひとも含めて勉強会しようや、といって何回も本を買ったりしてやったり、そういうことをやってたなあ。自己研鑽しようとしてやった感じではあまりやってなかったなあ。

―― 今の若い社員に大して「自分たちのころはあんなことやったのに、なんでやらないんだろう」みたいなことはありませんか?

K: ああ、「あんまり議論しているところを見ないなあ」とは思う。「それおかしいやんなんでこうなんのや」みたいな。例えば自分のときは、技術検討会みたいなのあるわけ。そこで議論もするし終わってからあとでタバコ吸いながらしゃべったり、また酒飲みに行ったらまたその話の続きになったり…とか。別に上下関係も部署も関係なくそういうことをよくやったんだけど、なんか今のみんなは粛々と仕事しているみたいで。やってる仕事を互いにあまり知らないんじゃないかな。同じ部内でもそうだし、ましてや東京・大阪の間など…。まあそのために今はワーキンググループみたいに横断的にやっている活動もあって、あれはいいことだと思うけど、ともかくあまり横断的な議論が多くないなあと思う。


(続く)

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